ガールズ&パンツァー劇場版Blu-layのDTS Headphone:Xをヘッドホンで聴く

ウサギさんチームの戦車の操縦席の空気を缶に詰めて売ってくれ。

はい!ついに発売となりました「ガールズ&パンツァー劇場版Blu-ray」です!

これで自宅にいながら「ガルパンはいいぞ」と好きなだけ言えますね!

さていきなり本題ですが本Blu-ray、「DTS Headphone:X」の音声が収録されています。

そんなわけで、手持ちのヘッドホンで「DTS Headphone:X」の実力を試してみました。

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DTS Headphone:Xとは?

DTSが開発した、ヘッドホン用のバーチャルサラウンド規格です。

ヘッドホンで擬似的に最大11.1chの環境を実現します。

各地で音にこだわった上映がなされている本作品。やはり家で見るときも音にこだわりたくなるのは必然です。

しかし狭い日本ですと、サラウンドで標準的な5.1chの環境なんて設置するのも音を鳴らすのもハードルが高いものです。

ヘッドホンであれば、ご近所様にも気兼ねなく鳴らすことができますね。

 

DTSHeadphone:Xのすごいところは「対応ヘッドホンは不要。手持ちのヘッドホンがそのまま使える」という点です。

某パナソニックあたりから「DTS Headphone:X対応」と銘打ったヘッドホンが出ており、対応ヘッドホンが必要と勘違いしている人が多いのですが、あれはDTSからのツール提供を受けて最適化が入っただけですので、対応と書いていない普通のヘッドホンでOKです。

 

再生機ですが、「劇場版 進撃の巨人」での動作要件ページを拝借してみます。

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要するに再生機がDTSフォーマットに対応していればOKなのですが、大抵の再生機はDTSフォーマットに対応しているので問題ないです。

ただしPCでの再生は、BD/DVD再生ソフトがDTSに対応していないことが多いので気を付けてください(特にドライブバンドル)。

接続も簡単です。特別な機材も不要ですので、再生機とディスプレイをHDMIで接続し、ディスプレイにヘッドホンを差すだけです。

さて上記のDTSロゴを見て「DTS-HD Master Audio(MA)じゃないの?」と思う人もいるかと思いますが、プレイヤーやAVアンプのステータスを見るとDTS-HD MAで認識されていました。

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DTS Headphone:Xで再生させよう

今回は再生機としてPlayStation4を使用します。PlayStation3でも問題ないでしょう。

注意点ですが、再生中の音声切り替えはできません。タイトルのメインメニューから行います。

「音声特典」の最上部にDTSHeadphone:Xのロゴが出ていますので選択します。

状況によっては本編とガイダンスのどちらを再生するか出てくることがありますが、まずはガイダンスを選択します。

ガイダンスが始まります。「ヘッドホンのみから音が聞こえるか?」と質問されますので答えると、テスト動画が流れます。

「どの方向から音が聞こえるか」のチェック動画なのですが、この時点ですごさが分かるはずです。

センターからの音は両耳からでなくキチンと目の前のセンターから聞こえますし、リアサイドの音も離れた位置のリアサイドから聞こえます。

これまでのヘッドホンのバーチャルサラウンドは壁に投げつけたくなるレベルだった気がしますが、DTSHeadphone:Xの再現力は素晴らしく一線を画するものです。「どこから音を出してるんだよマジかよ」と振り返ってしまいました。そういうレベル。

効果が確認できたら「パンツァー・フォー!」と言いながら「Play Movie」を押しましょう。

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その前にガルパン劇場版BDの5.1ch環境での音について 

我が家には5.1ch環境がありますので、比較対象としてまずはそちらで試聴します。

5.1chトラックはスピーカーの位置を感じさせず自然さを狙ったものがほとんどですが、ガルパン劇場版はその真逆で、どのスピーカーから、どの場所から音が出てるか分かりやすいです。過剰気味な演出とも言えますが、この鳴り方は来客用にもってこいです。

そのおかげで、戦車の走行音や砲弾が飛ぶ音などの動きが分かりやすく、聴いてて楽しいサラウンドに仕上がっています。

個人的には、戦車が出す金属音がしっかりとクリアに聞こえているのが気に入りました。作品を盛り上げる楽曲も気持ちよく鳴り、期待値以上の音声収録です。

これをリファレンスとして、DTS Headphone:Xに挑みたいと思います。

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DTS Headphone:Xで聴いたガルパン劇場版 

ガルパン劇場版の2ch音声をヘッドホンで聴くと、極端な言い方をすれば「左右の耳で音の塊を受ける」ような感覚です。まあ普通にヘッドホンで聴く音ですね。

対してDTS Headphone:Xは音が出ている場所や空間がキチンと表現されています。センターでキャラが喋り、左右前後から砲弾が飛んで戦車が走る。戦車が出す金属音や路面が潰れる音も生々しく聞こえます。位置とベクトルを持って。

これまでの「リバーブで誤魔化してるだけでは?」みたいなバーチャルヘッドホンとは全く別物のクオリティです。

そして皆さんが気になるであろう低音もきちんと出ます。

「塊として耳で受ける」通常の2chヘッドホンの音に慣れていると、音が拡散しすぎて音圧に欠けるように聞こえるかもしれませんが、慣れてくると空間内で立体的にドンパチ鳴ってる感が分かってくるので、DTS Headphone:Xのほうがリアルと言えるでしょう。

流石に実物のスピーカーを使った5.1ch環境には全ての面で敵いません。

でもこれだけ出ればいいんじゃないかなあ…。これいいですよ本当に。

そしてDTS Headphone:X、大画面でも遜色なく見ることができます。

プロジェクターで70インチ弱で映してる我が家の環境でも、音がショボいと思うこともなく最後まで見ることができました。

ペラい薄型テレビのショボいスピーカーや、PC向け液晶のスピーカーを鳴らすより、そこにヘッドホンを接続してDTS Headphone:Xで聴いたほうが幸せでしょう。

手持ちの機材で簡単に聴くことができるのですから、一度は試してみてほしいと思います。

ただヘッドホンによっては音声バランスが悪く感じるところがあり、音が小さいなと思って音量を上げすぎると耳を痛めるので注意です。特に低音は後から耳にキます。

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ヘッドホン、イヤホンによる違い 

せっかくですので、家にあるヘッドホンやイヤホンで聴き比べてみました。 

JVC HP-RX900


音の濃厚さと密度: ★★★★

解像度: ★★

サラウンド感: ★★★

楽曲: ★★★★

低音: ★★★

金属音: ★★

煙たさ: ★★★★

こいつまだ売ってるんだ!しかも何故か評価が高いぞ!

というわけでJVC(ビクター) HP-RX900です。

音の傾向としては「ニュートラルでフラットで暖色系。解像度が高くなくスルメのような味がする、昔で言うところのステレオ音」という感じです。これが好きな人はオッサンですね。

楽曲を★★★★としましたが上記に基づく個人的な趣味ですので、イマドキの人からすると★★になると思います。

全領域において、良く言えばふくよか。悪く言えば詰まり気味で抜けが悪い。

後述のBOSE Quietcomfort 15と比較するとなおさら思えるのですが、解像度が高くないせいかサラウンド感は低めです。密度があるので低音もそれなりに聞こえ、DTS Headphone:Xの魅力は十分楽しめますが、音作り的に人を選ぶのではないかと思います。

あとHP-RX900だと、戦車が土煙を巻き上げて走行しているシーンがやけに煙く感じるんですよねえ…。これはこれで魅力。

BOSE Quietcomfort 15

音の濃厚さと密度: ★★★

解像度: ★★★★

サラウンド感: ★★★★

楽曲: ★★★★

低音: ★★★★

金属音: ★★★★

ちょうちょ: ★★★★★

先ほどのHP-RX900の5倍くらいのお値段のBOSE QC15。

ちょっと場違い感があるノイズキャンセリングなヘッドホンでございます。

BOSEの音って良いんだけど言葉にしにくい感。

 

さてこいつ、我が家の手持ちの中では一番いい音となりました。お値段相応。

(HP-RX900と比較すると高い)解像度のおかげでサラウンド感も高く場所の広さも感じられ、音の位置や分離感がハッキリしています。戦車が出す金属音のジャラジャラ感や、土が潰れる音もいいですね。低音も塊ではなく細かに鳴っています。

ただ聴いた中では音声バランスが最も悪いと思います。センターから出るキャラの声が小さく聞こえるので、そこに合わせて音量調整すると低音がバカみたいに出て耳を痛めます。低音の大きさは意外と気付きにくくて後から後悔するので気をつけてください。

そして意外なところでノイズキャンセリングが効きます。

「紗希が何か言おうとしてる!」のくだりの静寂感は最高と言えるでしょう。

SHURE SE215 Special Edition

音の濃厚さと密度: ★★★

解像度: ★★★

サラウンド感: ★★★

低音: ★★★

金属音: ★★★★

イヤホンなのに大健闘: ★★★★

みんな気になるであろうイヤホン部門。

ヘッドホンは持ってないという人も多いでしょうし、夏は暑いし重いのがイヤという人もいると思います。

個人的にBAの音が好きじゃなくダイナミックの音が好きなんで、手持ちはSHURE SE215の通称ミクカラーことSpecial Editionです。全然ミクカラーじゃないけど。

とはいえヘッドホンと比較すると明らかに不利っぽそうですから期待してなかったのですが、DTS Headphone:Xのガイダンスでキチンとサラウンドで聞こえたのでビックリ。

そのまま作品を見続けますと、ヘッドホンほどではないのですがサラウンド感もきちんとあり、音質自体も手が抜かれていると感じることもなく「イヤホンでこんなに出るのか!」とビックリします。

これも解像度が効いてる気がするので、BAになるとどうなるんですかね。

ただヘッドホンと比べると迫力と没入感が下がりますので、イヤホンに飽きたころに、ヘッドホンの購入を検討したらいいのではないかと思います。

SoundPERTS B10


音の濃厚さと密度: ★

解像度: ★★★

サラウンド感: ★★

低音: ★

金属音: ★★★★

 相性の悪さ: ★★★★★

お待たせ致しました!昨日の敵は今日の盟友!

安イヤホン部門です。

というわけで、たまにAmazonのセールで1千円ちょいで売られるSoundPEATS B10でございます。

「可も無く不可も無くニュートラルな音」で、セール価格だと大満足、通常販売価格でも悪くはない感じだけど、正規の価格だと微妙系です。あとケーブルが絡みやすくてクソ。

まあイヤホンは消耗品ですから、外に出てスマホや安デバイスで適当にMP3を流すのにちょうどいいと思います。ただイヤーピースが外れやすいのが難点。

次にセールがあったら追加で1〜2本ほど買っておきたいですかね。

しかしなんですね。こいつでDTS Headphone:Xの音声を聞くと、あっダメだこれ ドンが無いシャリでスカスカ。それ以上の表現が難しいです。

ガイダンスではある程度のサラウンド感があったのでちょっと期待したんですけど、やはり残念な結果となりました。

いいところは高音や金属音が甲高く聞こえるところ。気持ちよく聞こえるか、高すぎると思うかは耳次第。

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総括 

過去にバーチャルサラウンドなヘッドホンで失敗した人に聞いてもらいたい仕上がりです。ああいうのとは別物で、DTS Headphone:Xはスピーカーでのサラウンド環境を持ってる人間が満足できる仕上がりです。

ヘッドホンではなくイヤホンでもOKなので、簡単に試せるのも魅力です(さすがに安イヤホンは厳しいようですが)。

しかしヘッドホンの特性が、サラウンド感や空間の広さの表現に露骨に出てきます。

解像度が高めなほうが満足度は高いと思います。

ただ今回はAKG K702のような超高解像度の開放型で聴けてないのですが、やみくもに解像度が高ければいいというものではない気がします。バランスが重要かと。

ともあれ百聞は一見にしかず。円盤買ったなら試さなきゃ損です。

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