MT-09を試乗した後で
「これはアカンやつや。また乗りたい」
と口走ったので有言実行、鹿児島に来てるついでにレンタルバイクで借りてみました。
前回「すげえギクシャクする云々」と言いましたが、今回は跨がって発進してあっという間に慣れてしまいました。
試乗コースが1車線の住宅地の裏道メインという酷い状況で気を遣いすぎたのもありましたが、試乗車は100kmも走ってるかも怪しい新車、今回のレンタル車は8000km弱でした。車体全体の慣らしが終わってるかどうかでも乗り味が大きく違うようです。
今回はいつもの試乗記と違った型式で書いてみたいと思います。
なお走行の内訳は「高速100km、酷道40km、残り一般道の合計300km」です。
ちなみに燃費は丁度20.0km/Lでした。すげえ。
・右手首と直結したエンジン
ひねればひねっただけその場で出る。
なので「手首とエンジンが直結してる」という感覚になります。
FIの特性が尖るほど、この感覚は強くなります。
いやーSTD楽しいっすね!
巷では「過激な特性」と言われて乗ることを躊躇されるバイクでもありますが、過激さの心配をする前に免許の心配をするべきですね。
必要なのは自制心。
さて、この手の右手直結型エンジンの場合、かなり重要なのがスロットルワイヤーの遊びです。
遊びが多いとギクシャクするし乗りにくいので、調整はこまめに。この手のFI車は遊びがないと感じるくらいが丁度いいです。
レンタル車両は遊びが大きく残念だったので、走り出す前に確認したほうがいいと思います。
・案外素直なコーナリング
実は試乗でうまく乗れなかったせいか、レンタル前日まで
「足回りが柔らかく、そういうスタイルだから、乗りこなすにはモタード的な乗り方が必要なのかなあ?モタード乗ったことないんだよなあ」
と思ってどう乗ればいいかすごく悩んでいたのですが。
そもそもバイクは頭で乗るものではない。
跨がって走ってしまえば、普通に曲がります。自然に。
各部の慣らしが終わっているのも効いてると思います。
えいやーで意図的に寝かすことは数回くらい。
何を悩んでたんだって感じですよ。まずは何も考えずに普通に乗ればいいんですよ。
そしてうまく決まればクルッと回り、脱出での加速も豪快で爽快。たのしい。
なんであのとき気持ちよく決まったのか、方法論的なところがよく分からないままレンタルの時間が終わってしまったのが残念ですが、自分なりの乗り方を模索するのが楽しいバイクじゃないかと思います。
・モードの切替は自分で決めろ
MT-09のキモはモード切替です。モード切替たのしい。積極的に使いましょう。
AとSTDとB、「このシチューエーションはこれで」みたいなことは色んなところでで言われますが。
この切替の閾値は他人に言われたとおりにせず、シチュエーションと自分の実力を考慮し、その場で自分で決めるべきです。
自分の場合、振り返ってみるとこんな感じで切り替えてました。
・A: 普通に流れてる高速道路
・B: 渋滞路、低速コーナーが続くところ、1車線道路、酷道、肉体/精神的に疲れたとき
・STD: 上記以外
免許いくつあっても足りないなあこれ…
基本STDです。STDでもツラいという人もいますが、扱いがラフだとツラいのも当然なんで、上手い具合に右手を慣らすとよいでしょう。
Aなんて高速道路の合流でフロントアップしない程度におっかなビックリ開けたら、ありえないくらい早くレブに当たってビックリですよ。この尖り方も高速道路であれば安全に使えます。
あと「疲れた」と感じたら無理せずBに切り替えること。集中力が低下しているときのSTDは危険。
モードの選び方は人によって異なり「峠ならAしかありえない」とか「長距離はほとんどBで流すよ」とか「街乗りもB」とか「低速コーナーでもSTDだね」とか、色んな人がいる感じです。
そういう「自分で考えた人それぞれのモードの使い方」があるのもMT-09の楽しいところではないでしょうか。
・総括: でもやっぱり人を選ぶバイクだよね
まず「自分で自分に合った乗り方を見つける」ことがとても重要なバイクと感じたので、免許取り立てだと厳しいと思います。
そして「ゆっくり走って楽しいバイク」ではないです。一般道で美味しく走ろうとすると2速ホールドというのはまさにリッターSSと同じノリで、気を抜くと免許が無くなる感じです。
下からトルクがあるので別にシフト上げてもいいんですけど、それはそれで美味しいところを逃しちゃうんですよね。
あとMT-09の屋台骨を支えているのが尖ったFIです。
しかしそれが故に、普通のバイク(定義は人それぞれ)と比べると、疲れやすいと思います。
「疲れたらBで走れ」は鉄則ですが、だからといって「このバイク疲れるんだよねー」と常時Bで走るのはあまりにナンセンスすぎます。MT-07買えよ。
そういう意味ではかなり「年齢も選ぶ」と思います。
50歳代になったら無理かな…
「身体がまだ動く、今しか乗れないバイクだな」と思ったときが乗り時かもしれません。
そんなわけで試乗だけだと魅力や特性が分かりにくいバイクですので「気になるんだけどどうなんだろう」と思ったら、レンタルで借りて吟味したほうが幸せになれると思います。
※追記(2015/10/19)
実は道中、生駒高原にて、

のすずどざさんと路上でエンカウントしてました。
関東に住んでて互いに会ったことがないのに、九州の路上で会う奇跡。